自動車保険と関係なく契約者が死亡した場合、名義変更や解約といった手続きをおこわなければいけません。
銀行口座や証券口座など金融機関では、口座名義人が死亡した際の変更手続きは手間がかかります。自動車保険の場合は、その契約者が記名被保険者かそうでないかでかかる手間は大きく変わってきます。
契約者と記名被保険者が同一人物とはかぎらない
車の所有者と自動車保険の契約者は基本同じですが、記名被保険者は異なる可能性があります。
例えば、親の車を子どもが乗るケース。親が記名被保険者だと、子どもと別居している場合は保険の補償対象外になることが多いので、この場合は別々の自動車保険に入ることが一般的です。
契約となると、契約者のほうが重要なイメージを持つと思います。でも、自動車保険の契約者が亡くなった場合と記名被保険者が亡くなった場合とでは、手続きが大変で注意しなければいけないのは、記名被保険者が亡くなった場合です。
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契約者と記名被保険者の違いは何?
まずは、亡くなった契約者が記名被保険者ではないケースを見ていきます。
死亡した契約者が記名被保険者ではなかった場合
自動車保険の契約者は、保険契約における権利と義務を有しています。でも、記名被保険者でなければ、自動車保険のノンフリート等級や補償範囲・内容に影響をおよぼしません。
また、自動車保険は自動車に紐付いているという考え方が基本なので、記名被保険者ではない契約者が亡くなった場合は、手続きは非常にシンプルです。
自動車の所有者変更にともなう契約者変更、そして継続する場合はそのままで解約する場合は解約手続きをおこないます。
契約者の変更手続きは、保険会社に連絡をし、契約者の意志を確認できる書類の差し入れで完了するのがほとんどです。印鑑証明などの書類は不要です。一点気をつけるとすれば、意志の確認は当然契約者死亡でできませんから、法定相続人が変更しなければいけません。
死亡した契約者と記名被保険者が一致する場合
契約者変更の変更は、上記と同じ方法でおこないます。記名被保険者の変更の場合は、もっと複雑になります。
そもそも記名被保険者を変更してでも契約を継続する意味は、ノンフリート等級を引き継げることです。ですから、変更する人が下記に該当する必要があります。
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者の同居の親族
- 記名被保険者の配偶者の同居の親族
死亡以外、例えば離婚などで記名被保険者を変更する場合も同様です。上記以外は等級承継できないので、契約者を変更して解約、新規に自動車保険を契約、加入することになります。
また、記名被保険者の変更によって、様々な契約条件が変わる可能性があります。変更後に保険料が変わったり、補償範囲が変わったりするので注意しましょう。
記名被保険者自身
使用目的や年間走行距離など、記名被保険者が変わることによって、もともと保険料を算出していた条件が変わってくるところがあります。
運転免許証の色や設定している場合は年齢条件も同様です。変更によって保険料を追加で支払う必要があるので、くわしくは加入している自動車保険の損保会社に確認してください。
記名被保険者変更による被保険者
記名被保険者が変わることによって、これまでと被保険者の対象が変わってきます。
被保険者は、記名被保険者から見て配偶者や同居の親族、別居の未婚の子のように対象が決められています。ですから、死亡によって記名被保険者が変わる場合、必ず被保険者が変わります。変わらず補償対象だとしても、その間柄が変わることは要注意です。
例えば、記名被保険者の父親が死亡して同居している子どもに変更した場合。基本的には母親は変わらず被保険者です。でも、「記名被保険者の配偶者」から「記名被保険者の同居の親族」に立場が変わります。そのため、「本人・配偶者限定」特約を付帯している場合は、母親は補償対象外となってしまいます。
万が一事故を起こしてしまい、自動車保険を使おうと思ったけど適用外だった……。こういうことを避けるために、まずは誰がその自動車保険の契約車両を使うのかを考えましょう。そして、誰を記名被保険者にすればカバーできるかを考えて記名被保険者を変更してください。
運転者を限定していて被保険者になれないという時は、対象を広げるために追加の保険料を支払うことになります。
名義変更をしなければ告知義務違反になる
契約内容から変更が生じた場合に、変更手続きをおこなわなければ告知義務違反となります。
契約内容と現状が異なっているのにそのままにしておくと、自動車事故で保険を使おうと思っても適用されずに保険金を受け取れないかもしれません。
ですから、ノンフリート等級を引き継げずに保険料が割高になってしまうからと、契約者が死亡してからも変更手続きをおこなわないということはやってはいけません。また、そもそも自動車保険の名義変更を忘れていた……というケースも避けなければいけません。
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